11/13 新宮小・中学校で薮谷 智規副センター長が出張講義を行いました
2023年11月13日(月)、四国中央市立新宮小・中学校で愛媛大学紙産業イノベーションセンターの出前講座が開催されました。新宮小・中学校の中学3年生5名を対象に、薮谷智規副センター長が『しこちゅ~な化学実験』と題して授業を行いました。
四国中央市には里芋や新宮茶などの特産品、書道パフォーマンス甲子園をはじめとする書道の文化があります。また、愛媛県では柑橘類の栽培が盛んに行われています。授業ではこれらと四国中央市の主要な工業製品である紙を組み合わせて以下の2つの化学実験を行いました。
①ペーパークロマトグラフィー
短冊状の紙の一端に水性サインペンでしるしをつけ、しるしが濡れないように注意しながら紙の端を水に浸すと、紙に水が染み込み、吸い上がっていきます(毛細管現象)。それに伴ってインクも上昇します。その様子を観察すると、水性サインペンのインクは複数の色素が混ぜ合わされていることがわかります。また、石油エーテルとアセトンを混ぜた展開液を使用すると、お茶に含まれる色素を分離させることができます。
ペーパークロマトグラフィーはインク等の紙への吸着性や、水や油への馴染みやすさの違いによって物質を分けることができます。
②呈色反応を利用した化学的な書道体験
里芋に多く含まれるデンプンとヨウ化カリウム水溶液を染み込ませたヨウ素デンプン紙を用意します。この紙をオキシドール(過酸化水素水溶液)に浸けると紙が全体的に青紫色になります(ヨウ素デンプン反応)。その後、みかんの果汁をつけた筆で字を書くと、筆記直後は書いたところが白くなります。生徒の皆さんは思い思いの文字をヨウ素デンプン紙に書いていました。
この化学実験では、物質の酸化還元反応を利用することで色をつけたり抜いたりすることができます。
ペーパークロマトグラフィーでは、ある試料の中に「どのような物質・成分が含まれているのか(定性分析)」「どれくらいの量が含まれているのか(定量分析)」を調べることができます。また、呈色反応は、特定の物質の検出(今回はデンプンとヨウ素)に活用できます。
授業を通じて、科学の面白さを体感してもらいました。そして、私たちの身近にはまだまだ沢山の科学があふれていることを伝え、是非、科学を楽しんでほしいとのメッセージを送りました。
授業の様子
ペーパークロマトグラフィー実験の様子 書道体験の様子