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6/1 四国紙パルプ研究協議会「令和5年度第1回講演会」で 伊藤 弘和准教授が講演しました

令和5年6月1日(木)、愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センターで四国紙パルプ研究協議会の令和5年度第1回講演会が開催され、伊藤 弘和准教授が『製紙スラッジ焼却灰を利用した機能性材料の開発』と題して研究成果を発表しました。

 

 製紙工場では、紙を製造する過程で製紙スラッジ焼却灰(PS灰)が大量に発生します。しかしながら、近年、処理費の高騰や埋立地の逼迫などの背景から、PS灰を廃棄物ではなく資源とする用途の開発が求められています。紙産業イノベーションセンターは、これまでに産官学連携し、PS灰には水を加えると硬くなる特性(水和特性)や日光などの熱を反射する特性(遮熱特性)といった性質があることを見出し、インターロッキングブロックや遮熱効果を持つ機能紙を開発してきました。
 講演会では、木造建築物に使用される塗料にPS灰を加え、遮熱効果を有した塗料を開発することで、PS灰を添加材として有効活用する研究について説明しました。
 PS灰を加えることで近赤外線の反射率が大幅に向上する一方で、塗料が増粘傾向になることや靭性が低下するなどの課題も出てきました。そこで、セルロースナノファイバー(CNF)とPS灰を複合させたところ、高い遮熱効果を維持したまま、塗料の性能を向上させることに成功しました。
 現在、愛媛大学の城北キャンパス内の屋外木製ベンチに、開発した塗料を塗工し、日光や風雨への耐久性の評価に加え、添加材の更なる品質向上に向けた研究を実施し、実用化を目指しています。

 

 今回の講演会は伊藤准教授の講演の他に、(地独)京都市産業技術研究所の研究フェロー 北川 和男氏より、CNFの種類や特徴、CNFを使った応用・実用化事例について講演がありました。また、愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センターの研究成果展示発表会・普及講習会も同日開催され、大変有意義な講演会となりました。

 


       講演する伊藤准教授                開発した塗料を塗工したベンチ

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