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6/27 第51期 宇摩間税会通常総会で内村 浩美センター長が講演しました

 令和5年6月27日、ホテルグランフォーレで第51期 宇摩間税会通常総会が開催され、内村 浩美センター長が『セルロースナノファイバーを活用した新たな紙製品の開発』と題して講演しました。講演会では、現在、紙産業イノベーションセンターで研究している以下の3つの研究テーマについて紹介しました。

 

①セルロースナノファイバー脱水技術の開発

 紙の原料であるパルプなどの植物繊維を、ナノメートルサイズ(100万分の1ミリメートル)まで解繊することで得られるセルロースナノファイバー(CNF)は、非常に微細なために通常の吸引脱水は困難であり、加熱による脱水はエネルギーコストがかかるといった課題があります。そこで、紙産業イノベーションセンターでは、地域企業との連携により抄紙技術を応用することで、CNFを連続的に脱水し、シート化させるシステムを開発しました。このCNFシートを活用して、レースカーのボディに実装する事例を紹介しました。

 

②医療診断用ペーパーデバイスの開発

 現在の日本は高齢化社会であり、疾患の早期発見などの予防医療の需要が高まっています。紙産業イノベーションセンターでは、紙の吸水性に着目し、いつでも、どこでも検査や診断ができる簡易検査キット(紙製バイオチップ)を開発しました。この簡易検査キットは、新型コロナウイルスやインフルエンザ、血液検査などに活用できる可能性があることから、実用化に向けて企業の方々と共同で開発を進めている事例を紹介しました。

 

③高機能紙の開発

近年、パソコンやスマートフォンなどの情報機器の急速な普及によるペーパーレス化が進んでいますが、公文書や契約書、履歴書などの重要文書は紙媒体が使われています。しかしながら、ボールペンで書いた文字は修正したい時に消しゴムで消すことができません。そこで、一定時間内であれば消しゴムでインキ(文字)を消すことができて、しかも、所定の時間が経過するとインキを消去できなくなるタイマー機能を有する機能紙を開発しました。この技術に関しては、ユーザーである文具メーカー及び製造メーカーである製紙会社と連携しながら製品化を進めていることを紹介しました。

 

このように、紙産業イノベーションセンターでは、製紙技術の応用や新たな機能紙の開発を行っています。また、紙をマテリアルとして様々な産業分野へ展開する研究を産官学連携して行っていることを紹介しました。

 

 


                        講演の様子

 

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