3/1 製紙産業イノベーション創出シンポジウムで内村 浩美センター長が講演しました
令和6年3月1日(金)、静岡県富士市の富士市文化会館ロゼシアターで富士市主催の製紙産業イノベーション創出シンポジウムが開催され、基調講演として内村 浩美センター長が『セルロースナノファイバーを活用した新たな紙製品の開発 ~紙産業イノベーションセンターの取組み~』と題して講演しました。
講演では、まず、2010年の全国で初となる紙産業に特化した大学院の開校から2014年の紙産業イノベーションセンターの開設など、これまでの歩み・取組みについて説明しました。そして、現在の紙産業界で生じている課題に関して、課題解決に向けた取組みについて報告しました。具体的には、電子媒体の急速な普及や経済のグローバル化、国内人口の減少に伴う紙需要の低減などの課題があります。そのような中、紙産業の将来に対応するためには、国内外の情勢を注視・分析した上で、現在の紙製品製造・加工に加えて、紙素材や紙の製造装置・技術を活用して紙製品以外の産業分野へ製品展開を図ることが重要であると解説しました。更に、現在、センターで実施している他の産業分野への展開に向けた研究について以下の3つのテーマを紹介しました。
①セルロースナノファイバーの研究 ⇒ 自動車産業分野への製品展開
(連続脱水・シート化技術の開発)
②医療診断用ペーパーデバイスの開発 ⇒ 医療品産業分野への製品展開
③インキ消去機能紙の開発 ⇒ 紙製品の高付加価値化・文化振興分野への製品展開
更に、シンポジウムではパネルディスカッションも行われ、内村センター長がパネラーとして登壇しました。ディスカッションでは、
①イノベーションを創出させるために何が必要か
②どのようにしてイノベーション創出を実現するか
という2つのテーマについて、登壇したパネラーの方々や会場の参加者の皆さんと積極的な議論を行いました。
今回のシンポジウムには四国中央市が共催として参画しており、富士市と四国中央市という製紙産業を基幹産業とする2市の新たな試みを感じられました。また、地域の皆様と連携しながら技術開発や製品開発を進めることで紙産業の活性化に寄与することを目的に活動している本センターにとって、静岡地区の紙産業界の皆様と意見交換ができる大変有意義なシンポジウムとなりました。
講演の様子 パネルディスカッションの様子