8/17 三島高等学校の2年生・3年生の皆さんが来訪されました
令和5年8月17日(木)、愛媛県立三島高等学校の2年生22名、3年生11名の合計33名が紙産業イノベーションセンターに来訪され、物理、化学、生物の分野に分かれて課外授業を行いました。本課外授業は、高校で学ぶ理科の知識が実社会とどのように繋がっているかを高校生に実感してもらうことを目的に、平成27年から実施しています。
○物理分野(担当:藪谷 智規副センター長)
物理分野では、藪谷 智規副センター長が光の性質について学ぶ授業を行いました。光は電磁波の一種であり、粒子と波の二面性を持っています。この性質により光が物質にあたった際に反射や屈折、散乱などが起こります。授業では、レーザーポインターと回折格子を用いて、障害物の背後に光が回り込む回折現象について実際に観察する実験を行いました。
○化学分野(担当:伊藤 弘和准教授、深堀 秀史准教授、潟岡 陽特定研究員)
化学分野では、「環境」をテーマに、伊藤 弘和准教授と潟岡 陽特定研究員はプラスチックに関する授業を、深堀 秀史准教授は水質汚染や排水処理に関する授業を行いました。
プラスチックは化石燃料から作られているため焼却時の二酸化炭素の排出や、自然界へ流出することで生態系に悪影響を及ぼすなどの問題から紙素材などへの代替が進められています。そこで、授業ではプラスチックへの理解を深めてもらうためにプラスチックの解説と実験を行いました。実験は、プラスチックの成形や発泡スチロールの減容化、木材繊維とプラスチックの複合材料であるウッドプラスチックの成形などを行いました。
台所やトイレなど各家庭で使われたあとの水(排水)は、下水処理場や浄化槽できれいに処理し、河川や海に放流されています。しかし、人工的に作られた化学物質の中には、従来の排水処理技術では除去できないものもあり、自然界に流出し環境に影響を与える可能性があります。授業では、排水処理の仕組みや水を汚染する化学物質について解説し、実際に水中の微量化学物質を吸着材(活性炭)で処理する実験を行いました。
○生物部門(担当:秀野 晃大講師)
生物分野では、秀野 晃大講師が新型コロナウィルスの検査方法として知られているPCR法の解説と実験を行いました。PCRとは「Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応」の略称であり、酵素であるポリメラーゼを用いて生物の遺伝情報であるDNAを短時間で大量に増幅させることができます。授業では、遺伝子やPCR法の原理について解説し、実際にPCR法を用いて、紙に含まれるセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)のcDNA増幅実験を行いました。
回折格子の実験の様子 プラスチックの成形実験の様子
水処理に関する授業の様子 PCRによる遺伝子増幅実験の様子